みなさん、こんにちは。
早いものでもう6月ですね。ソウル事務所のLさんからこんなお話が届きました。今日はその内容をご紹介します。
世界唯一の分断国家である韓国にとって6月はとても胸の痛い月です。1950年6月25日、朝鮮戦争勃発。あれから62年もの歳月が流れ、朝鮮半島はまるで分断されているのが当たり前であるかのようになっています。南を見ても北を見ても朝鮮半島の統一は段々遠のいているようにも思えます。
戦争か統一か、個人とは何ら関係がないように普段は暮らしていても、映画やドラマが現実と理想、希望の間を行き来し改めてもくれます。
「反共」を歌い民族間で対立しあった時代には、子供たちを対象にしたアニメ映画でさえも北を「敵」と描写しました。1979年に作られたキム・チョンギ監督の『トリ将軍』というアニメ映画があります。ここでは北朝鮮の人々を野蛮な豚、狼、韓国の人々は善良な人として描きました。主人公のトリは言うまでもなく英雄です。
時代とともに「反共」は薄れ、代わりに戦争の惨状と民族の哀歓をドラマチックに描きだします。戦争映画ではありませんが、イ・ビョンホン、ソン・ガンホが出演した『共同警備区域JSA』(2000年)では初めて南北が兄弟だということを実感させられ、同時に南と北の置かれている現実が悲しくもありました。
その後、チャン・ドンゴン、ウォンビンの『ブラザーフッド』(2004年)は興行、芸術ともに韓国史上最高の戦争映画となりました。朝鮮戦争に翻弄される北朝鮮人民軍の兄と韓国軍の弟を描いたこの作品は観客たちに多くの感動を与えました。
和解と対峙が繰り返される朝鮮半島の状況を描いたドラマ『더킹 투하츠(The king 2 hearts)』(MBC2012年)は、朝鮮半島の今後を映し出すモデルとも言えます。南北がお互いの体制を認め協力し合うという理想的な内容です。ドラマだけを見ていると胸いっぱいになりますが、国民の願いをよそにお互いの利権だけを主張している今の政治にはため息が出ます。
しかしベルリンの壁が崩壊したように、朝鮮半島の統一も遠からず訪れると期待したいものです。