皆さまこんにちは、編集わっしーです。今回は、韓国語の文法に関するちょっとした時事ネタをご紹介します。

韓国語には、日本語とは違って、国が定める「標準語」があるというのは皆さんご存じだと思います。

国立国語院が出版する『標準国語大辞典』が標準語の一つの基準となっていて、どの単語を使えばいいのか、ハングルでどう書けばいいのか、どう発音すればいいのか、この辞書を見れば大体分かるようになっています。

1999年に刊行された標準国語大辞典ですが、2008年にインターネット版が公開され、それ以降は年に4回ずつ内容の修正が入るようになりました。
標準語の基準が、常にアップデートされていくようになったのです。

さて、今回お話しするのは、先月1月24日に公開されたばかりの2021年度の4回目の修正内容についてです。この中で、만큼という語に修正が入り、新たに意味(用法)が一つ追加されました。

これまでは、名詞の後に付いて「〜ほど、〜ぐらい」という比較対象を表す助詞として、もしくは-을 만큼のように連体形の後に置いて「〜するほど、〜するぐらい」という表現の一部として使えることが辞書に載っていました。

例えば、그 사람만큼 한국어를 잘하고 싶다(あの人ぐらい韓国語がうまくなりたい)のような感じですね。

そして今回、新しく追加されたのは「〜だけ」という限定の意味です。

名詞の後に助詞として付けて、오늘만큼은 집에 일찍 들어가야겠다(今日だけは早く家に帰らないと)とか、너만큼은 용서 못 해(お前だけは許せない)のように使うことができます。助詞の〜만と似たような使い方になりますね。
 

この使い方を見て、あれ、普通によく使っている表現じゃないの?と思った方もいるかもしれません。

その通りで、〜만큼のこの用法は今までもずっと使われてきたものなのですが、「標準語」としては認められていませんでした。

「標準語の辞典に意味(用法)が追加された」というのは、新しい使い方を発明したよ!ということではなく、たくさん使われているけど標準語ではないものが「標準語として認められた」ということを意味しています。
 

標準国語大辞典のウェブサイトのトップに修正内容のお知らせが出ていますので、関心がある方はご自分でも確かめてみてください。

만큼の部分はこんな感じになっています。左が修正前、右が修正後で、下線が引かれているところが追加された内容です。

2022年に『標準国語大辞典』が修正され新たな用法が加わった「만큼」

今回の修正は、私にとってはなかなか大きなニュースでした。

これまで発音や表記について修正が入ることはよくあったのですが、今回のように文法的なことについて修正が入ることはあまりないと思っていたからです。

文法にも「実際に使われている韓国語」を反映していこうという編集方針が強く感じられました。
 

標準国語大辞典の修正にはときどきこういう重要なものがあるので、私は定期的にチェックしています。

標準語かどうかというのは、決して「使っていいもの・駄目なもの」の区別ではありませんが、どこからが正式な言葉なのかという一つの基準を国が提供するものなので、韓国語を学習する上でとても参考になります。

例えば、すごく口語的な単語や発音について、標準語でないと分かった上で使ってみるということが大切だと思っています。

個人的には、修正が頻繁すぎるといろいろ不便なので、もう少し頻度を下げてくれるとありがたいのですが……

皆さんもぜひ一度上のリンクから見てみてください。それでは!