※このコーナーは、『韓国語ジャーナル hana』の定期購読者に送付されている会報誌『hana通信』の「わっしーのマニアック韓国語」を再編集したものです。
今回のマニアック韓国語は、何かと脱落しやすいㄹパッチムの話をしましょう。
ㄹの脱落と聞いて、まず思い浮かぶのはㄹ語幹の用言だと思います。알다に「‒는」や「‒시‒」などの語尾を付けるとき、ㄹが脱落して아는、아십니다となりますね。このような現象は、もう少し古い時代にさかのぼると、よりさまざまな場面で起きていました。幾つか例を見てみましょう。
例えばㄹ語幹用言の場合、古い韓国語ではパッチムのㄹがㄷやㅈの前でも脱落していました。その痕跡は現代語にも残っています。例えば「알‒」に「‒다시피」が付くときは、알다시피(知っての通り)と아다시피(知っての通り)の二つの形があります。
標準語は前者ですが、後者の方がより古い形です。また머지않아(遠からず)や바라 마지않습니다(願ってやみません)などの言い回しにも、멀다や말다のㄹが脱落していた痕跡が認められます。お気付きの方もいるかと思いますが、昔は辞書形でもㄹが落ちていました。つまり알다は아다、멀다は머다だったわけです。
名詞でも、二つ以上の名詞が組み合わさるときにㄹの脱落が起きていました。例えば바느질(縫い物、針仕事)という単語は、바늘(針)と질(仕事)が組み合わさっています。他に、날+날+이→나날이(日+日→日に日に)、솔+나무→소나무(松+木→松の木)、말+소→마소(馬+牛→牛馬)、밀+닫+이→미닫이(押す+閉める→引き戸)などの例があります。
これらのㄹの脱落は古い時代の形が定着したものであり、現代の韓国語で頻繁に起きる変化ではありませんが、知っておくと単語を覚えるのにちょっと役立つかもしれません。
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