終わりの見えないコロナ禍の下、HANAは全社在宅勤務を続けています。その中での小社の主要コミュニケーション手段は、週1回のオンラインミーティングとチャットなのですが、業務外の雑談(これもチャット)でよく聞かれるのが、「韓国に行きたい」という声。読者の中にも同様の願望をお持ちの方が多いことと思います。

私個人的に韓国で何をしたいのかというと、マッコリの盃を片手に市場のジョンを食べたい、スンドゥブ定食が食べたい、ウナギを豪快に焼いて食べたい、ピリ辛の海鮮鍋タンをすすりたいなど、食べることばかり思い浮かびます。

実はこの韓国行きの他に、私個人的にやりたいと思っていることが一つあります。これもまた食べることなのですが、今回はそれについて書きたいと思います。

『地球の歩き方』という旅行ガイドブックをご存じでしょうか。個人旅行者を主な読者とする黄色い表紙のガイドブックで、私は30年近く前、バックパッカーとして中国の各地を訪れたり北米西海岸をバスで縦断したりしたときにお世話になりました。ネットが今のように発達していない頃ですから、私の他にも多くの個人旅行者が携行して頼りにしていたと思います。

実は、韓国人もこの本を頼りにしていました。アメリカで仲良くなった韓国人パックパッカーが「ヒョン、ウリナラにはこんなにいいモノがあるんだぜ」といって見せられたのが、『地球の歩き方』の韓国語版『세계를 간다』でした。あまりに堂々と言うので「なんだ『地球の歩き方』って韓国の本の翻訳だったのか」と一瞬信じてしまいました。でもよく読むと、体験談の名前が日本人名ばかりで、すぐわれに返りましたが。

それはともかく、最近『地球の歩き方』からこんなタイトルが出ていることを知り、早速入手しました。

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』

そう、『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』です。この他にも、最近『世界のすごい城と宮殿』『世界のすごい巨像』『世界のなんでもランキング』『世界246の首都と主要都市』『世界の魅力的な奇岩と巨石139選』『世界のすごい島』などのタイトルが「旅の図鑑シリーズ」というシリーズ名で相次いで出版されています。

「コロナで旅行本が売れないから大変そうだな」と勝手に想像したりもしましたが、この編集部は数十年の歴史の中でとてつもない量の知識や情報を蓄積してあるでしょうから、(一部のマニアックな)タイトルに負けない濃密な図鑑であることは容易に想像されます。

ともあれ、今回入手した『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』が素晴らしすぎます! 実に116の国と地域の代表的な料理が写真や解説とともに複数紹介されており、圧巻というしかありません。しかも、それら現地の味を日本国内で楽しめるお店の情報やレシピまで載っています。さらにはそれぞれの言葉で「美味しい!」を何と言うのかも!

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』目次

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』目次

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』目次

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』116の国と地域の名物料理を食の雑学とともに解説

エスニック料理で比較的われわれに身近なものといえば、タイやベトナム、インドなどのアジア料理かもしれませんが、本を眺めていると、ヨーロッパも実に多彩な料理がありますね。おなじみのフランス、イタリア、スペインなどの国は地方別にも料理が紹介されています。

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』タイのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』タイのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』タンザニアのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』タンザニアのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』ポーランドのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』ポーランドのページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』フランスの郷土料理のページ

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』フランスの郷土料理のページ

先日「タモリ倶楽部」でモルドバ料理を紹介していたのですが、それらも抜かりなく紹介されています。スペイン語圏の中南米も国ごとに実に多様な食文化があるようですね。何度か食べたことがあって大好きなブラジルの豆の煮込料理をフェイジョアーダと呼ぶこともこの本で知りました。料理だけでなく、食の背景にある、その国や地域の歴史や文化、習慣などにも触れることができます。

『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』ブラジルのページ

この本のおかげで大好きだったブラジルの豆煮込み料理の名前が判明!

カバーには「世界はおいしいモノにあふれている!」という文言がありますが、私はどんな料理、どんな素材でも、どんな味がするのか一度は食べてみたいと思うほうです。多くの読者の方も同じではないでしょうか? この本を見ていると、一生かかっても食べ切れないくらいの料理が掲載されています。

実は私、以前別の出版社で『韓国語ジャーナル』という雑誌を創刊しましたが、そのときの所属はマルチリンガル編集部という部署でした。韓国語、中国語はもちろん世界の言語を扱う編集部で、月に1回編集部のみんなで、「マルチ(エスニック)なお店」というメルマガ記事を書くことにかこつけて、世界の国・地方の料理を食べに行くということをやっていました。

その時の上司と今日まで一緒に仕事をしていることもあって、あのイベントを復活させようという話をたびたびしていたのですが、HANAの設立以降10年ほどは、毎日夜10時や11時まで働く日常だったこともあり、その希望もかないませんでした。

しかしここ数年で会社の運営も安定し、(社長も含めて)残業をほとんどしないようになりました。そうしたこともあって、また巣ごもり下の韓国語学習熱にも助けられて、今回のコロナ禍も大きな危機を迎えることなくやり過ごせそうです。

コロナが収束した後も、おそらく在宅勤務制度は続ける予定です。ともすればコミュニケーション不足に陥りがちになるはずですが、それを補うためにスタッフが仕事以外で集う機会を作りたいところです。そんなことを考えていたときに手にしたのが、『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』です。例の「マルチエスニックなお店めぐり」を復活させたい願望がメラメラと湧き上がってきました。

しかも今回は、社員が自腹で行くのではなく、福利厚生事業として会社が費用を支援し、社内スタッフのみならず、ときに著者の先生や外部スタッフにも声を掛ける。そしてただ料理を食べて終わるのではなく、その地方の歴史や文化を少しでも学べるような集まりにしたいと考えています。

「旅は準備しているときが一番楽しい」論者の私としては、自由に食べ歩けない今こそ、こういう本で妄想を膨らましておきたいところ。『地球の歩き方 世界のグルメ図鑑』は、行動が制限されている今のような状況にピッタリの本だと思うのでおすすめします。ちなみに韓国料理のページでは、コリ文語学堂のキム・スノク先生がちょこっと登場されています。