※このコーナーは、『韓国語ジャーナル hana』の定期購読者に送付されている会報誌『hana通信』の「わっしーのマニアック韓国語」を再編集したものです。
韓国語の否定には、안+用言の形と、用言語幹に-지 않다を付ける形の2種類がありますね。今回はこのうち、-지 않다に関わる話をします。
この-지 않다は、仮に먹다に付けたとすると먹지 않다となりますが、このように二つの要素に分かれているので、間に別の要素を入れることができます。具体的には、助詞を入れることができます。
例えば、먹지 않는데(食べないんだけど)の間に~는を入れて먹지는 않는데(食べはしないんだけど)としたり、먹지 않고(食べずに)の間に~도を入れて먹지도 않고(食べもせずに)とすることができます。
なぜ-지の後にこうして助詞を付けることができるかというと、実はこの-지がもともと、用言の名詞形だったからです。
否定形に使う않다はもともと아니하다(しない、~でない)の縮約形ですから、먹지(食べること)+않다(しない)=먹지 않다(食べない)という組み合わせになっているのです。
さて、-지がもともと名詞形であることを知った上で、今回の本題です。
否定形に助詞を挟むとき、~는や~도の挟み方は上で見た通りですが、他にも否定形には~를、~가を挟むことができます。これらを挟んで-지를 않다、-지가 않다とすると、否定の意味を強めて「なかなか~しない」「絶対に~ではない」などのニュアンスを持たせることができます。
~를と~가の二つには大まかな使い分けがあり、傾向として「他動詞には~를」「形容詞には~가」を使います。他動詞のように、他の人や物に対する行動を表す場合は~를を使うことが多く、形容詞のように人や物そのものが持つ性質を表している場合は~가がよく使われます。
<例文>
전혀 쓰지를 않아요
まったく使いません
전혀 예쁘지가 않아요
まったくきれいではありません
これに対して自動詞や、受身の動詞などの場合、動詞でありながら物事の性質を表すことも多いので、-지には~를も~가も両方付けることができます。動作的な意味なのか、状態的な意味なのかによって使い方がやや違うようです。잡히다(捕まる)の例を見てみましょう。
<例文>
전혀 잡히지를 않아요/전혀 잡히지가 않아요
まったく捕まりません
잡히다はさまざまな意味があり、実際に犯人を捕まえようとしていて「捕まらない」ということもあれば、日程が「決まらない」ことや、仕事が「手に付かない(손에 잡히지 않다)」ということもあります。
犯人が捕まらないのは動作的(他動詞的)なので범인이 잡히지를 않아요が使われやすく、仕事が手に付かないのは状態的(形容詞的)なので손에 잡히지가 않아요が使われやすいと言えます。
これは唯一の正解というわけではないので、もう一つの助詞も同じ文で使えますが、使われやすさに差が出ます。-지に助詞が付いているのを見つけたら、どういう意味で使われているのかにも注目してみると、傾向が見えてくるかもしれません。
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